バスタグの現場から / 2026年8月3日

会社・お店のNAS導入で大切なこと — データを失わないための選び方と運用

会社やお店でパソコンを使っていると、「みんなで使うデータを、どこに置くか」がすぐに問題になります。
各人のPC、USB接続の外付けハードディスク、クラウド、スマホ——置き場が分かれるほど、探しにくくなり、守りにくくなります。

見積書や請求書、作業データ、顧客情報といった業務データや写真は、一度失うと簡単には戻りません。PCや端末は買い替えられても、中身は戻ってこないことが多いです。

NAS(ネットワークに接続するストレージ)は、その置き場を一つにまとめるための選択肢です。導入時の選び方も大切ですが、当店がいちばん見ているのは、ちゃんと運用できるか、そして性能低下や故障・トラブルのときにも データを失わずに済むか です。「これを買えばオーケー」と製品だけで決まるものではありません。いかに快適に使い続け、データを失わないか、が主眼です。その考え方を整理します。

結論:使い方を先に考える。そのうえで決めることと、運用に必ず必要なこと

いちばん先に決めたいのは、何に使うかです。いま何を入れているか、これから何を入れるか、どう使うか、何人で・どれくらいの頻度か——そういった使い方が見えてくると、必要な性能やかけられるコスト、バックアップの必要性の輪郭が決まってきます。

そのうえで、構成として決めておきたいのは次の3つです。

  1. 性能(用途に応じた容量・スピード・拡張性など)
  2. 壊れにくさ(ディスク障害に備える仕組み、電源を安定させる無停電電源など)
  3. バックアップ(別の媒体へ、定期的に取れること)

運用していくうえで、次の2つも 必須 です。

  1. 部品には耐用年数がある(壊れるまで使い続けない)
  2. 困ったときに相談できる先がある

使い方が土台で、前の3つは機器と守りの設計、後の2つは運用を続けるための前提です。

まず、何に使うか

製品や容量の数字より先に、使い方を整理します。たとえば次のような問いです。

  • 何を保存・共有したいか … 文書、写真・画像、共有フォルダ、バックアップなど、何を保存し、誰と共有したいか
  • いま何があるか … 現在、どこに・どれくらいのデータがあるか
  • これから何を入れるか … 増える見込みはあるか
  • どう使うか … 共有の仕方、誰が編集するか
  • 何人で使うか … 同時に触ることが多いか
  • どれくらいの頻度か … 毎日か、たまにか

ここが曖昧なまま機種を選ぶと、「とりあえず大容量」「とりあえずこの製品」になりやすいです。使い方が分かれば、次の性能・壊れにくさ・バックアップの話が現実的になります。

NASの性能とは

使い方が見えたあとに考えるのが、NASの性能です。容量はその一部です。

用途が決まると、必要な性能の輪郭が見えてきます。たとえば次のような要素が絡みます。

  • 容量 … どれくらい保存するか。少なすぎないか、大きすぎないかの両方が大事です
  • スピード … 同時に何人が使うか、大きなファイルを頻繁に扱うか
  • 拡張性 … あとからディスクや構成を増やしやすいか
  • コスト … かけられる予算。性能と守り(バックアップなど)のバランスもここで見えます

一般的な会社や事務所で保存するものは、だいたい次の3つです。

  • Excel/Word/PDFなどの文書
  • 画像・写真データ
  • 各種バックアップ

容量は、足りないとすぐ逼迫し、大きすぎてもコストが膨らむので、両方を見ます。目安としては、新規に入れるとき いま手元にある量の倍以上、という考え方があります。増え方を見誤ると、すぐに逼迫します。一方で、一般の事務所規模(おおよそ数名〜数十名程度)では、極端な大容量がいつも必要とは限りません。業務の中身次第です。

スピードは、本体の処理能力とネットワークの影響が大きいです。同時に使う人数が多い、CADのように大きなファイルを頻繁にやり取りする、といった場合は、容量だけでは足りず、機種や構成の選び方が変わります。拡張性も含め、「今足りるか」と「何年か後も困りにくいか」をセットで見ます。

相談のときは、上の「何に使うか」を伺ったうえで、「今どれくらいあるか」「今後どう増えるか」「何人が同時に使うか」「あとから増やしたいか」を一緒に見ます。

壊れにくさ

ミラーリングやRAIDは、複数のディスクを組み合わせて、ディスクが1台壊れても動き続けやすくし、ディスク交換後に再構築できるようにするための仕組みです。会社では、「壊れた瞬間に業務が止まる」ことを避けたい、という目的で選ぶことが多いです。

製品や構成が障害に強いかどうかも、同じ観点です。スペック表の容量だけでなく、障害時にデータを守れるかを見ます。

壊れにくさには、電源環境を安定させるための無停電電源装置(UPS)も含みます。突然の停電で電源が落ちると、NASは傷みやすいことがあります。RAIDや本体の信頼性だけ見て、電源まわりを外すと、守りが片手落ちになりがちです。

もう一つ、運用が何年も続いたあとに効いてくるのが、本体(外側の箱)が壊れて、内蔵ハードディスクやバックアップが生きているときの話です。そのころには機種の世代が変わっていることも多いです。それでも、本体故障時に、その時点で入手できる対応機種へ移行できるか、またはバックアップから復元できるかは、とても大事です。移行や復元が難しい製品だと、本体故障時のデータ救出と業務継続のハードルが上がります。

また、ミラーリングはバックアップの代わりではありません。

リアルタイムに同じ内容を別ディスクへ書く仕組みは、誤って消したファイルや、中身が書き換えられた場合には、そのまま悪い状態も同期してしまいます。壊れたディスクへの備えと、消えた・壊れたデータを過去の時点に戻す備えは、別物です。

PCのUSBに外付けハードディスクを挿し、共有ドライブにして「みんなで使う置き場」にする運用とも、まったく別物です。見た目の共有は似て見えても、安全性も安定性も利便性も違います。 適切に構成・運用されたNASなら、ネットワーク上で共有できることに加え、壊れにくさのための構成や、別媒体への定期バックアップ、共有に役立つ機能など、守りと使い勝手をセットで考えられます。PCにUSBの外付けハードディスクをつなぐだけの構成では、そこまでの安全性・安定性は期待しにくい、というのが当店の見方です。

バックアップは最重要

ハードディスクを含め、機器はいつか壊れたり、トラブルを起こしたりします——これは前提として考える必要があります。

だからこそ、次のようなことがとても重要です。

  • 壊れても、データを失わないこと
  • 壊れにくいこと
  • 壊れても業務が続けられること、あるいは業務のダウンタイムが短いこと

データを失わないための中心が、ここ(バックアップ)です。RAIDだけでは足りない、という話の続きでもあります。壊れにくさや業務継続は前の章で見た通りで、それでもなお「いつかは壊れる/トラブルが起きる」前提に立つなら、別媒体へのバックアップが欠かせません。

見ておきたいのは、「別の媒体へ、定期的にバックアップできる 機能があるか」だけではありません。それを 確実に実行できるか、実行の記録が残るか、うまくいかなかったときに異常を通知できるか、まで含みます。

機能だけあって、実際には止まっていた・失敗していた、ということがあります。壊れてから「自動で取られているはず」と思い、バックアップから戻そうとしたら、ちゃんと取れていなかった——現場ではよくある話です。だから、取れることと、確実に回り続けることはセットで見ます。

この別媒体へのバックアップが確実にできていれば、そのバックアップ側が壊れたり被害を受けたりしない限り、データを失う可能性を大きく下げられます。NAS本体や内蔵ディスクに障害が起きた場合でも、戻す土台が残る、ということです。だからこそ、ここはとても重要です。

理想を言えば、バックアップ用の外付けハードディスクへのバックアップに加えて、別の場所——たとえば別拠点のNASや、クラウド上——にも取っておきたいです。同じ場所・同じ箱まわりだけだと、火災や盗難など、その場ごとやられるリスクは残ります。ただ、そこまでやるかどうかはコストとの相談です。かけられる余裕があるなら、2つ目のバックアップを検討する価値はあります。もちろん、まずはバックアップ用の外付けハードディスクなどへの定期バックアップを確実に回すこと、が土台です。

バックアップ用の外付けハードディスクなどへ定時(夜間など)に書き出せていれば、内蔵ディスクが全滅したとき、本体が壊れて内蔵ディスクからデータを読み出せないとき、ファイルが消えた・壊れたときに、過去に取っておいた時点のデータから戻せるようになります。

RAID 別媒体へのバックアップ
主な狙い ディスク障害でも動き続けやすい 過去の状態に戻せる
誤削除 弱い 効きやすい
本体故障・複数ディスク故障への備え 弱め 適切に取れていれば復旧しやすい
タイミング ほぼリアルタイム 定時(例: 夜間)の時点

「RAIDがあるからバックアップは不要」は、よくある誤解です。当店ではそうは考えません。

壊れにくさとバックアップをきちんとそろえ、運用まで含めて回せるようにしておけば、データを失う可能性を大きく下げ、「失ったらどうしよう」という不安を減らせます。そうした安心を得られることが、当店の考えるNASという製品の真骨頂です。もちろん、機械である以上ゼロリスクではありません。だからこそ、確実に回り続ける構成と、あとで述べる運用(耐用年数・相談先)がセットになります。

部品には耐用年数がある

NAS本体だけでなく、内蔵ハードディスク、バックアップ用の媒体など、部品には寿命の目安があります。

パソコンを壊れるまで使い続ける、というのは、無いわけではありません。買い替えれば、より性能の高いものに乗り換えられることも多いです。一方、NASに関しては、壊れるまで使うという選択肢はありえません。 壊れてからでは、データの復旧や業務継続が難しくなるおそれがあるからです。買い替えても、失ったデータは戻ってきません。

だからこそ、データを失わないことに注力する必要があります。不調がなくても、壊れるまで使い続ける使い方は、まったくおすすめできません。 データを預けている中核の部品だからこそ、不調が出る前の交換(予防交換)を検討する、という付き合い方になります。

時期や内容は構成によって違うので、詳細は個別にご相談ください。

相談先の確保

パソコンでも同じで、使い始めるとトラブルが起きたり、使い方が分からなくなったりすることがあります。NASも例外ではありません。違いは、中にデータを預けていることです。万一のトラブルが、データ消失のリスクに直結します。

もちろん、トラブル対応まで含め、すべてを自分で管理するのも一つの選択肢です。ただ、データの保全性を考えると、ある程度のコストをかけて、保全の確度を上げることは必要だと当店は考えます。機器を買ってきて設定しただけでは、いざというときの不安が残りやすいです。

運用のうえで大切なのは、たとえば次のような点です。

  • おかしな動作をしていないかを随時確認する
  • バックアップがきちんと取れているかを確認する
  • 消耗品などを適切なタイミングで交換する
  • 障害時に対応できる体制や、対応してもらえる相談先を確保する

性能低下や故障、データが危ない場面でも、何とかできる見通しがあるかどうかです。復旧方法や移行手段が整っている機器を選ぶ、という観点もあります。

当店では、ご相談から導入、その後の部品交換や不具合の相談まで、続けてお付き合いしています。できることの詳細は、サービス案内にまとめています。

おわりに

NASでは、まず 何に使うか を明らかにしたうえで、導入時の 性能・壊れにくさ・バックアップ と、運用に必須の 部品の耐用年数相談できる先 を見ます。目的は、置き場を一つにすることだけでなく、データを失わないこと、そしてその安心を続けられることです。

当店では、いまお使いのNASやデータ保管環境から、新しいNASへデータを移すこともできます。運用面も含めてご相談を承り、状況に合わせてご提案します。カタログのスペック表だけでは決まりにくいところは、使い方を伺いながら一緒に整理できます。お気軽にご相談ください。

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